推しの講義が聞きたくて2度目の大学生をした話~私の推しは大学教授~
50万円を使いきってください。
できれば物があとに残らない形で、そしてできれば自分のためになる形で。家族には内緒。期限は半年くらい。
どうする?全オタクにアンケートとりたい。
良席買う?遠征で豪遊する?CD死ぬほど買って処分?整形?貢ぐ?
この50万って結構悩ましい額じゃないかと思う。生活を大きく変えるには足りないし、使えないわけじゃないけど1度にぽんと使うにはやや大きい。ブランド物買ったらすぐだけど後に残ってしまうし、海外旅行には同様の金を出せる友人が欲しいところ。普段のオタ活費の一部として消費するんじゃつまらない。
50万、さあどうしようか。
結論から言うと私は大学に入学した。
私大文系の半期の授業料にぴったり。まあ入学金諸々はちょっと足りなかったので30万くらい貯金から補填したけど。
なんで大学に入学したかというと、私の推しが大学の客員教授だから。
しがないオタクがちょっとガッツをキメることにした話。全部終わったら自分のためにもちゃんとまとめておこうって思ってたので、オタクらしくはてぶろを書くことにした。
ちなみに先述した50万。
条件をみるとどんな汚いヤバイ金なんだと思われそうだけどそうじゃない、いや汚いっちゃあ汚いけど。ただの痴漢の示談金だ。私のケツ代。こんな胸糞悪い金、口座に入れておきたくすらないし、でも無駄遣いするのはもったいない気もするし、親にも心配かけたくないから秘密だし、よって前述の条件にした。
さて本題に戻ると、私の推しは大学教授である前にEXILEだ。
そしてコーヒーマイスターでもあり、NHK教育テレビのお兄さんでもあり、前述したとおり大学の客員教授。
お名前はEXILE TETSUYAさん。
肩書きが多いザイルのひとり。この春に結婚して話題になったから知ってる人も増えたかな。
彼は全国に6店舗も展開するコーヒー屋さん「AMAZING COFFEE」のプロデューサーでありながら、大学の人文学部で表現についての講義を持ち、研究所を立ち上げてパフォーマンスの研究始めたと思ったら、自身も早稲田大学院に入学・卒業して論文で表彰されたり、はたまたNHKでダンスのお兄さんをしていたりと、とにかく活動がめちゃめちゃに幅広い。
でも本業はEXILEパフォーマー。正直追い切れない。困る。すき(は?)
彼のファンになったのはこの大学の講義がドキュメント映画化された頃。3年くらい前だったかな。つまりまだまだド新規。
TETSUYAさんの踊るダンスが本当に本当にドストライクで、友人と行ったライブで転がり落ちたあと、その映画を観に行った。観に行ってめちゃめちゃに叩きのめされて帰ってきた。
「夢は諦めなければ叶う」
ドキュメント映像の中、講義やインタビューで彼は何度もそう言っていた。実際彼はたくさんの夢を叶えてきた。肩書きが多いザイルなのはつまりそういうこと。全部彼の叶えてきた夢。
でもね~~~私もう夢諦めちゃったんですよ~~~~!!しかもあなたの叶えた夢!!ダンスを!!!10年も前に!!!
途中からもう勘弁してくれって感じだった。友人も道は違えど夢諦めちゃった系女子だったのでふたりしてたぶん会場内で浮くほど泣いてた。今思い出してもつらい。上映後の本人登壇で全員スケブに夢書いてくださいって言われたけどそれどころじゃないよ、コンプレックスでぐちゃぐちゃだよこっちは。
もうこんな眩しい大成功人間推してらんねー!って帰り道思ったんだけど、まあ次のライブのチケットはもう手元にあるわけで、まあそしたら観に行くわけで、あーやっぱりこの人のダンスめちゃめちゃ好きだなぁ、もっと観たいなぁ、こんなふうに踊りたいなぁ、って思って結局降りれなかった。
だから彼のオタクをしてる理由の7割は尊敬と憧れで、1割は恋で、でもたぶん残りの2割は嫉妬でできてる。
オタクやってそこそこ経つけどこんなややこしい感情で人を応援してるの初めて。リアコしたい人生だった。
でもじゃあなんで50万円で大学入ろうとしたかって、直接聞きたかったのだ。
「諦めちゃうことだって、叶わないことだってあると思うんだけど、そこらへんはどうお考えですか」って。
なんで推しに喧嘩売ってんのって感じだけど、でも私はあの映画からずっともやもやを抱え続けてるのだ。人に胸を張って夢なんて言えないし、諦めちゃった夢をまだ引きずってる。このもやもやを抱えて推し続けるなんて御免だ。
で、ちょっと厚めの札束を手にした時にピンときた。もう1度、今度は生で講義を受けようって。
チャンスだと思った。講義を受けて、得るものがあれば良し、けど諦めたお前が悪いって今度こそトドメを刺されて降りたっていいやくらいの気持ちだった。
それで受験をして、合格して、入学して、彼の講義を受けた。これが結構大変だった。
10年近くも前の高校や大学の成績証明を取り寄せて、志望理由書書いて、面接の回答考えて、小論文の練習をした。受験のために久しぶりにスーツも着た。
そんなわけで今年の4月、私は晴れて2度目の大学生活をスタートさせた。
仕事は無理言ってなんかいい感じのシフトにしてもらった。看護師でよかった~!
周りは先月まで制服を着てた全員ピチピチの18ちゃい。こちらは三十路目前。びっくりした、若さと可能性に。
TETSUYAさんの講義を受けられたのは7月だったけれど、大学に入って1ヶ月経たずして彼に聞こうと思っていたことは解決してしまった。
18歳の彼ら彼女らにとって大体の夢は「諦めなければ叶う」のだ、本当に。
諦めるなんてことを考えるには早すぎる。一緒に過ごす中で、18歳って可能性の塊なんだって思った。
たぶんTETSUYAさんはそのことをわかっていたのだ。だからあんなに「夢は叶う」と言っていたんだろうと思う。
18歳向けの講義をアラサーが聞いたらそりゃ噛み合わないとこあるよね。気づいた時には笑ってしまった。完全に私が馬鹿だった。
そうしてフレッシュな18歳たちとの大学生活を送り(結構楽しかった)、やっと講義を受けられたのが7月。それまでに色々(結婚&妊娠、膝のオペによる活動制限)あったけど、私は相変わらずTETSUYAさんのファンでオタクだった。
講義当日、もちろん私が陣取ったのは教壇マイクの前の最前。
EXILEの曲に合わせて講堂に入ってきたスーツの推しは間違いなく世界でいちばんかっこいい教授だった。二次元の乙女ゲームかと思った。
尊敬とか憧れとか嫉妬とか嘘、100%恋ですって感じだったもんあの瞬間は(チョロ)。
講義内容は3年前に見たドキュメント映画とは大分違っていた。
諦めなければ夢は叶うとは全然言われなかった。覚悟していたから、ちょっと拍子抜けしたし、それと同時にほっとした。
講義では彼の多岐にわたる活動の紹介と、その中で彼が大事にしていることを教えてくれた。彼の思う夢を叶える秘訣やヒントみたいなそういうやつ。たくさんの活動をしていて、そのどれもが実は綿密に絡み合ってプラスの相互作用を生み出しているという話とか。
仕事を調整しながら大学に通う中で、実は今の仕事がわりと好きなことを自覚したり、あれっなんか仕事しながら結構色々挑戦できちゃうのでは?って気づき始めたタイミングだったので、彼の講義は自分の中にすごくスッと入ってきた。
授業の後半は色紙に夢を書いて発表。これは3年前と同じだった。
私は現状これ!ってはっきり書くことができなくて、大学入学時の志望理由を適当書いてやり過ごそうと思った。
でもペンを走らす直前、TETSUYAさんが「嘘だけは書かないでください」って。推しに嘘つくなって言われて嘘つけるオタクいる??私には無理。
結局私が書いたのは「毎日笑顔でやりたいことをやり続ける」。
夢って言うには漠然としてるかもしれない。でもその時の正直な気持ちだった。
発表のときに壇上で「やりたいことはある、でも現状道は険しいし、状況も常に変わる。だからその時々とにかく笑顔で、やりたいことやる」と話した。
TETSUYAさんはすごく丁寧に話を聞いて、それから
「やりたいことに壁が生じるのはもう必然。でも壁にねじ曲げられたことを運命だと思って、そこでポジティブでいられるかが大事だと思う。ポジティブにやりたいことをやりたいって言って足掻いてたらきっと周りの人が助けてくれる」
と話してくれた。あんなにしっかり目を見て、人からの言葉を受け取ったのは久しぶりだった。
なんかね、めちゃめちゃ先生だった。いや教授だからそりゃ先生なんだけど、そうじゃなくて、自分がファンでオタクということを忘れて、学生としてそこにいれた感じ。だから緊張せずに話すことができた。
それに、これ、ほんとその通りだなって思ったの。私が今回大学いくことになったときもそう。講義にたどり着くまでに一悶着も二悶着もあったけど、周りが手を貸してくれたり応援してくれた。こんな馬鹿みたいな挑戦にも関わらず。
当初聞きたかった「諦めちゃうことだって、叶わないことだってあると思うんだけど、そこらへんはどうお考えですか」をぶつけることはしなかった。
だって彼は夢を諦めたことも叶わなかったことも体験している。講義の中で教えてくれた。
だから代わりに「水泳の夢を諦めたとき、その夢とどう向き合いましたか?」って聞いた。彼は笑いながら水泳で上を目指すことを諦めて公園で遊びまくった時の話をしてくれた。
そして「諦めたから出会った人や今の環境がある。ひとりではたぶん無理だったけど、周りが変えてくれた」と。
録音しときたかったな。あの言葉が、全部とは言わないけど、私の抱えていたもやもやをほとんど倒してくれた。
ああそうだ、私も諦めたから今の友人と出会えて、この環境に居られているのだと、素直にそう思えた。
そういえばダンスを諦めたあと、高校生の私は「看護師になって東京でいっぱい稼いでめちゃめちゃオタクする」という目標を立てたんだった。忘れてた。あれもたぶん夢といえば夢だったしそれはバッチリ叶っている。
最後に自分の夢を書いた色紙の裏にTETSUYAさんがサインをしてくれて、みんなでEXILEのki・mi・ni・mu・chu-を踊って、講義は終わり。
踊る時にお手伝いに来てくれてたのが通っているフィットネスクラス(これもTETSUYAさん監修)のイントラさんだったから最高に気まずかった。なんでお前こんなとこで大学生してんねんって絶対思われてた。つらい。
無事講義を受けるという目標を達成したので、私は9月の前期終了とともに大学を退学した。
夢と言うには大げさかもしれないけど、「大学で講義を受ける」という目標掲げて達成する中で、夢を叶えるプロセスをすこし体験出来たような気もする。
大学の先生方や同級生たちには申し訳ないと思っている。でも私のこれからの人生においてやっておかなきゃいけないことだったと今はっきり思うので、大目に見て欲しい。
自分で予想してた30倍くらい得られるものがあった。今でも本当に講義を受けて良かったなと思う。
50万円もとても報われたんじゃないかな。次はちゃんと風俗にいくんだよ。
あと驚くべきことにTETSUYAさんは月刊EXILEという雑誌で今回の講義について話す中で、社会人学生のことを取り上げてくれていた。
いえーい!私でーーす!沸いたーーー!!
さて、なんで今日このまとめを書いているかというと、EXILE TETSUYAさんが新たな夢を叶えたからだ。
ビジネス書著者という肩書きが増えた。
ちなみにもうじき高校の学長という肩書きも増えるらしい。すご。
昨日彼は「三つ編みライフ」というビジネス書を出版し、私はそのお渡し会に参加してきた。講義を除けば、ちゃんとした接触会は初めてだった。
昨日のTETSUYAさんはEXILE TETSUYAさんだったのでめちゃめちゃに緊張して全然話せなかった。
でも講義ありがとうございました、とだけはちゃんと伝えてきたので良しとする。
お礼も言えてこれでようやく私の大学生チャレンジは~完~だ。
ちなみにこの書籍、まだちゃんと読み込めてはいない。とりあえず一通り目を通したレベルだ。発売翌日なので許してください。
でもその中でびっくりした一文があった。
「夢が叶うか叶わないかは誰にもわからない。だったらたくさん夢を持てばいいし、叶わない夢があるということを理解していればいい。」
私が欲しかったのはこれだったのかもしれないと思った。
というより、この言葉がいちばん今の私の原動力になりそうな気がした。やりたいこと全部夢にしちゃえばいいんだ、どれが叶うかわからないけどどれも挑戦してみる価値はある。夢は叶えるもの、叶えなきゃいけないって思っていると夢をつくることのハードルが高くなるだけ。
3年前に観た映画であんなに「夢は叶う」って言ってたのに、叶わない夢もあることを彼はこの本の中ではっきり書いていた。
そりゃそうだ、この本は社会人向けのビジネス書なんだから。18歳の学生に向けた言葉とは違って当たり前だ。
そして彼の叶わない夢についても書かれていた。
もうじき開催される東京オリンピック、彼はその開会式で踊りたいとずっと言っていたし、私はそれをずっと信じていた。叶えてくれるのだと信じて開会式のチケットも申し込んだ(残念ながらご用意できませんでした)。
でもどうやらそれは叶わないらしい。
今私はそのことがめちゃめちゃに悔しくて悔しくて悔しい。あんなに夢叶えマンなのに、そこ叶わないんだ、あんなに頑張ってんのに。彼よりふさわしい人いる?いなくない?逆に誰が踊るの??ダンスバトルして決めてもらっていい???
とはいえ彼はもうこの夢が叶わないことを理解して、たくさん持っている夢の他のいくつかに目標をシフトしているのだという。
やっぱりすごい人だと思う。私もそうなれるよう頑張ろう。彼への尊敬と憧れが7割なのはもう揺るがないです、多分。
彼の書いた本「三つ編みライフ」には講義で聞いたことも含め、さらに社会人に向けたアドバイスが詰まっていた。講義も素晴らしかったし、いくつもの気づきをもらった貴重な時間だったけれど、社会人である今の私にはこの本の言葉たちのほうがよりフィットするように感じた。
そんなわけで、この記事を読んでくれた人のうち1人でもいいのでこの本を読んでほしいなと思う。ステマじゃない。ダイレクトマーケティングです。
EXILE TETSUYAさんてすごいんだよ!いい本だよ!社会人のみんな読んでね!!お仕事もオタ活も頑張ろうって思えるよ!!
三つ編みライフ ~夢を叶えた31の言葉~ https://www.amazon.co.jp/dp/4296105299/ref=cm_sw_r_cp_api_i_.TnaEbQEJQAXS
私は元々若手俳優育ちのオタクなので、EXILEという国民的アーティストを応援していることで「認知もろくにない、話す機会も殆どない、オタクして報われることなんてないのになんでこんな必死に追いかけてるんだろう」と思うことはこれまでもままあった。
でも最近ではそんなことはもう思わない。
こんなにも人生や生き方にいい影響を与えて貰っておいて、報われてないなんて嘘だ。毎日とは言わずとも日々の大半をポジティブに過ごせている。これって結構すごい。もうそれで充分。
あとこれはまたいつか書こうと思ってるんですが、彼のおかげで体脂肪率10%減しました。
ありがとうEXILE TETSUYAさん。
何も返せないのでせめて本をたくさん買って友人に配ります。
来年2020年はLDHパーフェクトイヤーという事務所を挙げたお祭りなのでしぬほど現場が詰め込まれているようだけど、しぬ気で通おうと思う。もちろん仕事も他のやりたいことも頑張りながら。
どんどん夢を叶えていく最高にかっこいい推しに誇れる自分で、またいつか「あのときの学生です」と言えたらいいなと思う。